ご挨拶

 たけのこ会は、昭和53年(1978年)横須賀市佐野において、若き脳性麻痺の青年たちの集まりとして誕生しました。以来、作業所の設立を経て、現在はNPO法人として障害者支援の事業を展開しています。

 この活動を一貫して推進し、更にたけのこ会にとどまらず、地域の障害者運動のリーダーとして活躍した前理事長の川島美行氏のあとを継いで、令和5年(2023年)10月1日に理事長職を拝命いたしました。

 たけのこ会の歴史は、障害者の自立と社会参加を進める歴史でもありました。それまで行き場のなかった重度障害者の活動の場として、神奈川県においては作業所が障害当事者や保護者の手によって生まれていきました。さらに横須賀市では、医療ケアを必要とする重症心身障害の方たちの施設も生まれました。こうした中、たけのこ会では、平成15年に介助派遣センターと自立生活支援センターを、平成17年にはグループホームを開所しました。

 このような動きは、措置費から支援費への制度変更、障害者自立支援法や障害者総合支援法の制定などの国の動きと絡みながら進んできました。しかし、こうした国の動きが障害者の自立と社会参加を進める一方、障害者を取り巻く様々な課題も起こりました。その最大の課題は、2016年7月に私たちの住む神奈川県で起きた津久井やまゆり園事件でした。このような事件を二度と繰り返さないためには、障害者は「保護の客体」ではなく「権利の主体」であるという思想を再度確認する必要があります。誰もがお互いを権利の主体として尊重しあう共生社会の形成の一翼を、私たちもまた担いたいと思います。

かつて、たけのこ会では、1990年代に神奈川県全域で取り組まれた「駅にエレベーターを!車いす大行動」の構成団体として、県及び横須賀市で行動を共にしてきました。こうした運動の成果として、横須賀市内のJR及び京急の駅にはエレベーターが設置されるようになりました。今では、車いすの人にとどまらず、高齢者や妊婦さん、ベビーカーの赤ちゃん、キャリーバッグを押す人など、いろいろな人が利用しています。障害者が暮らしやすい街は、誰もが暮らしやすい街であるという信念のもと、これからも社会と関わるたけのこ会として活動していきたいと考えております。

どうぞよろしくお願い致します。

たけのこ会 理事長  伊藤 大郎